小学校高学年の定番教材「ブランコ乗りとピエロ」。研究授業でもよく扱われる教材です。内容項目は「相互理解、寛容」です。
さて、学習指導要領解説の指導の要点(P49)を読んでみると、以下のようなことが書かれています。
(以下、学習指導要領解説より一部抜粋)
『この段階においては、自分のものの見方や考え方についての認識が深まることから、相手とのものの見方、考え方との違いをそれまで以上に意識するようになる。また、この時期には、考えや意見の近い者同士が接近し、そうでない者を遠ざけようとする行動が見られることがある。そのような時期だからこそ、相手の意見を素直に聞き、なぜそのような考え方をするのか、相手の立場に立って考える態度を育てることが重要である。』
(以上)
ここで注目してみたいのは、「そうでない者を遠ざけようとする行動がみられる」という記述です。このような行動は学級での子供たちの関係性にもよくみられることです。その行動がきっかけでトラブルが起こりやすいのも高学年児童の特徴ではないでしょうか。
その視点でこの教材を読んだ時、教材前半のピエロの怒りは、気の合わないブランコ乗り(サム)を遠ざけたいというものではないかと考えるうことができます。他の団員は気が合う仲間であり、ブランコ乗り(サム)は気が合わないので、遠ざけることで自分の立場を守ろうとしているのです。
そうであるなら、このピエロの行為(心情)の是非を問うてみると、自分ごととして考えることをねらう発問ができるのではないかと考えます。「考えの合わない人を遠ざけることをどう思うか」を学習内容にすることで、学びの焦点化を図るということです。この学習内容を通して児童自身の日頃の友人関係を振り返らせることができたら、この教材が子供たちにとって価値あるものとなるでしょう。
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