社会科教育の研究者である山田勉氏の著書『教える授業から育てる授業へ』から道徳科授業を考えます。
近年、「深い学び」という言葉が広がっています。「何をもって『深い』といえるのか」という議論をよく見かけますが、「『学び』とは何か」という議論も当然必要でしょう。
山田氏は、『学ぶ』の概念について以下のように述べています。
(以下、著書より抜粋)
わたしは、学ぶということは、認識の自己否定だと考えている。知識でいえば、それまでもっている知識が、新しい知識を学ぶことによって否定されるということである。自己否定はもちろん自覚的過程でなければ成立するはずがない。したがって、教師が手とり足とりで、完全をよそおって知識を教えていても、それだけでは学ぶことにはならないのである。(以上)
「学ぶ=認識の自己否定」という論について、これは先述している村上敏治氏の「確かな価値認識とは、さきの価値経験に対する自己評価である」という論と同意と認識できます。哲学的思考これは社会科のみならず、どの教科にも共通する概念であるといえるでしょう。
道徳科授業においても、授業前(または導入時)の価値認識を、対話を通して自己否定・自己評価できるようにすることが重要なのです。
《引用参考文献》
山田勉著『教える授業から育てる授業へ』(黎明書房,1987)
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