2022/01/13

道徳的価値の一般化


 村上敏治氏は道徳的価値の一般化が要求される由来をと以下のように述べています。

(以下、著書より抜粋)

一定の資料は、すべて内容上、特殊な場面での特定の問題における、特定の考え方や生き方を具現したものである。それが特定の場面での特殊な生き方・考え方を示したものであるほど、資料または教材としての迫力に富むといってもよかろう。しかしそれだけに、単に資料内容を教えるだけでは、一定の主題を教えたことにならない。一定の資料によって得られた道徳的価値の学習経験を拡充したり延長したり、資料内容以外の素材をもってこれに加えたりして、主題の全面を蔽うくふうが要求される。資料内容を教えただけでは、いわゆる「資料どまり」になって主題の要求するものと完全に一致しないのは、やむを得ないことである。(中略)もともと一般化という概念は特殊なものを一般化するということであり、したがって一般化される対象は、まずもって、資料の示している問題場面の特殊性であると考えてよい。

(以上)

 私たちは「価値を一般化する」というような表現を使うことがあります。では、一般化するとはどういうことなのか。村上氏の論を借りるとすると、資料の示している問題場面の特殊性を一般化するということになります。これは、日常生活に当てはめて自分ごととして考えさせ、教材での学びを通して自己を見つめさせる(生き方を考えさせる)ということになるのではないでしょうか。


《引用参考文献》

村上敏治著『道徳教育の構造』(明治図書,1973)

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