2021/07/21

ワクワクする道徳授業

ワクワクする道徳授業


 夏休みに入りました。学校の先生にとって、ホッと一息つくことのできる日々です。

 さて、道徳授業について諸々と考えていると、ふと頭によぎることがあります。それは、「おもしろい道徳授業って、どんな授業だろう」ということです。

 あえて「おもしろい授業」という表現を使わせてもらいます。なぜなら、私自身が考える理想の授業イメージが、「おもしろい」という表現になるからです。もう少し言うと、学校の教育活動全体がおもしろくあってほしいと願っていますし、そのおもしろさを、子ども自身が感じとる力をつけてほしいと思っています。

 話を道徳授業に戻します。では、どのような道徳授業を、子ども達はおもしろいと感じるのでしょうか。

 一つ目のキーワードとして、「ワクワクする」ということが考えられます。この「ワクワク」という言葉を、別の言い方で表すと、学びの「主体性」や「必然性」という言葉になるでしょう。また、活発な話し合いができることや、新しい知識(見方・考え方)を学べる実感があることも、ワクワクにつながるかもしれません。

 「やったー!次は道徳だ」という声が聞こえてきたことがあります。給食当番の準備をしながら、授業の話し合いを続けている姿もありました。次の日に、感想を数ページにわたって書き綴った子もいました。全てに共通していることは、「もっと学び続けたい」という気持ちが心の中にあふれていたことです。まさに、日々の道徳授業にワクワクしていた状態だったのです。

 このワクワクを生み出すものの一つが、『発問』です。分類すると様々な呼び名がありますが、いわゆる『中心発問』や『補助発問(深める発問)』を想像してください。この発問を工夫することで、子ども達の心に「ワクワク」が生まれるのです。

 ここで考えてみてください。自分が授業を受ける立場とした時、どのような質問をされるとワクワクしますか。知識として知っていることを尋ねられたら、最初は答えられることに喜びを感じるかもしれませんが、いつも同じようなことを聞かれると、きっと「またこの質問か」と、飽きを感じてしまいます。これは、大人も子どもも同じです。

 私がワクワクする質問は、知識や経験として知っているけれど、自分が考えたことのない視点で問われることです。「えっ!?」「だって・・・」という戸惑いの後に、自分の頭の中がグルグルと回り始めます。必死で言葉を探し、文をつなぎます。その瞬間は苦しいのですが、しばらくすると頭の中がすっきりとしている状態となります。この状態が、「おもしろい」のです。水に潜り、パッと息を吸った状態に似ているかもしれません。

 もちろん、威圧的な態度で問われることは拒絶します。答えることに恐れを感じてしまいます。考えるという行為自体を放棄してしまいます。また、教師が答えを知っているという前提だと、「早く答えを教えてよ」という、解を与えてくれることを待つだけになってしまいます。発問者も、子ども達と同じ目線に立ち、共に考える立場になることが重要なのです。

 なお、「えっ!?」「だって・・・」という戸惑いを引き出すには、思考のずれを引き起こすことが有効です、例えば、「導入とのずれ」「経験とのずれ」「他者とのずれ」「複数の価値とのずれ」などです(「ずれ」については、また後日お伝えします)。

 発問について考えていくと、その先には子ども達の「ワクワク」が待っています。子ども達がワクワクする授業は、きっと教師にとってもおもしろい授業になると思います。ぜひ、夏休みに「発問」を考えてみてください。

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