2021/07/14

中心発問(1)


中心発問(1)

 

 実際に授業を考える際に気になるのが、「発問」。特に「中心発問」をどのようにすればよいか悩まれる方も多いと思います。

 まず、「中心発問」について整理をします。環太平洋大学 教育経営学科准教授の伊住継行氏は、日本道徳教育学会第97回大会での研究発表で、中心発問には2つの立場があると述べてます。

(1)議論を深める場所と捉える立場

(2)中心発問を議論のスタート地点と捉える立場

 いかがでしょうか。従来の道徳授業では(1)の考え方が多かったように思います。中心発問が授業のメインとなり、発問一つで子ども達に新たな見方・考え方を身につけさせようというイメージです。研究授業では、この立場の中心発問を時間をかけて考えることが多かったように思います。

 しかし、注目してほしいのは(2)の立場です(私の個人的希望を込めています)。中心発問を議論のスタート地点と位置づけるという考え方です。中心発問を『開かれた発問』とすることで、議論を始めるきっかけとさせます。さらに、子ども達の反応を予想して補助発問を用意することで、思考を確かに深めさせることをねらいます。

 発達段階や学習内容、学級の実態によって、どちらの立場の中心発問を用いるかを授業者が選択する必要があることをご理解ください。もちろん、これ以外にも中心発問についての考え方はありますので、この場で中心発問の意義を限定させる意図はございません。

 さて、ここで皆さんに認識してほしいことは、「中心発問は、絶対〜のようにする」という、道徳授業のきまりは存在しないということです。ただし、どんな発問や展開でもよいということにはなりません。その発問で、学習の主体である子ども達が何を学べるのか。自分ごととして考えられる展開になっているか。学級の中の「誰か」の居心地を悪くする授業になっていないか。過去の授業実践や発問研究をもとに、授業者はきちんと考える必要があります。

 発問も、展開も、教材の見せ方や道徳ノートやワークシートの書かせ方も、誰かが決めた絶対的なきまりは存在しません。教材に合わせて、子ども達の姿を思い浮かべ、現状で最適な授業(手法や展開、発問)を日々考えてほしいと願います。


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