教材研究 小学2年生「おばあちゃん、お元気ですか」
本日は教材研究デーです。小学2年生教材「おばあちゃん お元気ですか」(日本文教出版)の授業を考えてみます。内容項目はc「家族愛、家庭生活の充実」です(教材の詳細は教科書をご覧ください)。
学習指導要領解説では、低学年の「家族愛、家庭生活の充実」の内容は『父母、祖父母を敬愛し、進んで家の手伝いなどをして、家族の役に立つこと』とあります。しかし、この教材の中で、中心人物のぼくが家の手伝いをしている様子はありません。役に立つ行動もみられません。「あれ?内容項目と教材が合致していないのでは?」そう思ってしまうかもしれません。
そこで、この教材では「役に立つ」を「家族の喜び」と置き換えて考えてみましょう。なぜなら、この教材での授業が「お手伝いをしましょう」という行動を求めるものではないからです。
さて、授業前半(導入や基本発問)を短くするということが一般的な解釈ですが、この教材ではあえて前半部分にしっかりと時間を費やしたいところです。なぜなら、「おばあちゃん大好き」という僕の気持ちに共感することを通して、児童自身が祖父母といっしょに遊んだ思い出を存分に思い出してほしいからです。そのことが、授業後半での「道徳性の深まり」につながります。逆に言えば、この場面での共感が不十分だと、言葉のやりとりだけの授業に陥ってしまうことでしょう。
次に、おばあちゃんから誕生日プレゼントをもらった場面について考えてみます。プレゼントが届いたけれど、「会えなくて残念です」という手紙も入っていました。それを見て、僕はうれしかったのでしょうか。それとも、さみしかったのでしょうか。みんなで話し合いたいところです。
もちろん、どちらの気持ちも正解です。プレゼントを送ってくれたおばあちゃんの優しさにも感謝したいですね。でも、ここでは「さみしい」という気持ちに焦点を当ててみます。
ところで、さみしさを感じているのは誰ですか?中心人物のぼくの視点で考えていると、さみしいのはぼくになります。しかし、おばあちゃんのさみしさに気づく児童もいるでしょう。「おばあちゃんに会えないぼくのさみしさ」と、「大好きなおばあちゃんがさみしく感じていることに対するぼくの悲しさ」、両者に気づかせてあげたいところです。そうすることで、「大好きなおばあちゃんが喜ぶことをしてあげたい」「ぼくのメールをおばあちゃんは喜んでくれるかな」「おばあちゃんの笑顔が見たいな」という、ワクワクする気持ちを児童が感じられることでしょう。
そして、授業終盤。おばあちゃんの喜びから生まれる僕の喜びを感じさせることで、子ども達の心に、「よし!私も家族のみんなが喜ぶことをしてあげたいな」という道徳的心情を育ててあげます。
以上を、「おばあちゃん、大好き」の教材分析とします。このような、授業の大まかな展開を考えた後に、効果的に発問や手法(役割演技など)、児童の反応を考えていきます(長文になるので今回は省略します)。
授業のポイント:①生活経験の想起、②選択肢(思考のズレ)からの議論
0 件のコメント:
コメントを投稿