2022/11/08

ブランコ乗りとピエロ


 教材「ブランコ乗りとピエロ」の学習活動案の一例を考えます。この教材を初めて読んだ子供たちは、どのような感想を抱くでしょうか。予想できる感想として、「なぜ、(サムは謝っていないのに)ピエロは許すことができたのかが分からない」「僕なら許せないと思う」というものが考えられます。この「予想される初発の感想」をそのまま発問として使うことができそうです。

 さて、授業前半では、ピエロのこみ上げる怒りについて考えさせます。サムの演技で観客は楽しみ、大歓声が聞こえています。それにも関わらずピエロが怒っている理由をまずは理解させます。「規則が大事」「自分も目立ちたかった」などの意見が出てくることが予想されますが、そこで「二人の考え方は似ているか。違っているか。」を問うてはどうでしょうか。

 二人の考え方には似ているところ(自分が目立ちたい)も似ていないところ(決まりを大事にしているか)もありますが、実のところ二人の関係は「気が合わない関係」といえそうです。そこで、初発の感想を生かして「ピエロが許せたことについてどう思うか」を考えさせます。子供たちからは「許すことに納得できない」という意見も出てくるでしょう。

 そのうえで、子供たちに考えさせてみたいこと(補助発問)は「考え方が違う人を遠ざけて過ごすことは、楽しいか」です。いわゆる「一般化」の発問であり、教材から離れて子供たち自身の生活を想起させることで、よりよい生き方を考える発問になります。

 最後、ピエロがサムを許した行為について考えさせます。子供の中には「気が合わない人と過ごすことに反対だ」「許したことは納得できない」と考えている子もいます。だからこそ、ピエロの言動について考えることが大事になるはずです。 

 上記は学習活動案の一つですが、目の前の子供たちの実態に合わせて、授業の展開も柔軟に考えていきたいものです。

【学習活動案】

(1)発問「ピエロはなぜ怒っているのか」

(2)発問「二人の考え方は、よく似ているか」

(3)発問「そんなにすぐに許せるのか」(初発の感想を活用)

(4)発問「考え方が違う人を遠ざけて過ごすことは、楽しいか」(一般化)

(5)発問「サムの姿を見てピエロが気づいたことは何か」(価値理解)

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