奈須氏は、著書の中で「必要に応じて指導案や学習指導要領解説も渡すべきだ」と述べています。徹底した情報の開示をすることが、子供たちの「自ら学ぶ力」を養うことにつながるからです。
このことに関して、著書の中で以下のように述べています。
(以下、抜粋)
「そんなものまで渡すのか」と驚かれると思いますが、大切なのは、子どもを見くびらないこと、子ども扱いしないことです。子どもが要求するならば、どんな情報だって提供すればよいのです。あるいは「こんなものもあるけど、使ってみる?」と、こちらから尋ねてもいいでしょう。
教師の側にそのつもりがなくても、子どもから見て、教師が大切な何かを後ろ手に隠しているような授業では、子どもは決して本気にはなりません。これもまた、子どもを信用しているか、期待しているかという根本的なことと関わってきます。
(以上)
私たち教師は「子どもをみくびっている」と反省させられる記述です。「何もわかっていない」という前提で子供たちと関わり、日々の授業を考えている。これは、精神医療における「オープン・ダイアローグ」で重視されている「無知の姿勢」から眺めても、決してよいことではないと思われます。教師こそ、子供たちのことを「何も知らない」という姿勢で関わるべきなのです。子供たちのもつ力を信じるべきなのです。
ここで一つ、気になることがあります。「学習指導要領解説」を子供たちに渡すということについて、そのことの賛否は別として、実際のところ解説に書かれている本質を読み取ることは教師である私たちでも苦心するところです。小学生の子供たちの多くも、やはり難しいのではないでしょうか。
必要に応じて渡す必要があるというのなら、私たちが子供たちにも理解しやすいように「学習指導要領解説の解説」を作ってはいかがでしょうか。道徳科であれば、内容項目・発達段階ごとに分かれているので、そのような「解説の解説」という補助資料も可能ではないかと考えます。
《引用参考文献》
奈須正裕『個別最適な学びと協働的な学び』(2021,東洋館出版社)
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