2022/11/09

ブランコ乗りとピエロ(ホット・シーティング)


 教材「ブランコ乗りとピエロ」の授業を「ホット・シーティング」の技法を使って取り組んでみました(模擬授業)。「ホット・シーティング」とは、「テキストの内容やある場面の登場人物の心情などをより深く理解するために、教師や学習者が登場人物となって、質問したり答えたりする技法」のことになります。

 「ホット・シーティング」は、誰かが質問を受ける「ホット・シート」に座った時点で活動が始まります。シートに座った子が教材の人物になりきって、フロアからの質問に答えます。重要になるのは「即興性」であり、いわゆる「役割演技」と共通するところがあります。

 さて、実際の模擬授業でのやり取りを紹介します。

教 師『サムのことを完全に許したのですか』

ピエロ「どこかに裏切られた気持ちがあります」

教 師『じゃあ、がまんしたということですね』

ピエロ「がまんではないけど・・・。でも、いいサーカスにしたいから、自分の目立ちたいという気持ちが邪魔になった気がします。それに、(教材の)最後の方に怒りが消えてしまったと書かれています。

教 師『では、あなた(ピエロ)の「裏切られた」という気持ちを消したものは、何でしょうか』

ピエロ「サーカスを成功させたいという気持ちです。自分にないものを相手がもっていることに気づきました」

教 師『なぜ、それを見つけることができたのだろうね』

 本来なら観客役の子供たちに質問をさせるのですが、今回は教師が質問をする形を取りました。教師とピエロ役の児童との対話を「観る」ことで、観客役の児童の思考を深めることをねらっています。

 このようなインタビュー形式の活動も、道徳科授業では効果的ではないかと思っています。


《引用参考文献》

渡部淳、獲得型教育研究会編『学びを変えるドラマの手法』(2010,旬報社)

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