「学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科 道徳(以下、解説)」の記述から発問を考えることも大切にしたい。村上敏治(1983)は、道徳授業の抱える課題について、「道徳とは何かについての基本的理解がおきざりにされて道徳授業の技法ばかりが過剰になり、教師にとっても児童生徒にとっても、必然的教育課題になることなくそらぞらしいものになりがちである。」と述べている。
道徳科授業を計画する際、すぐに「発問」を考える傾向がある。多くの教師が「発問」を最も大事にしているということの表れだろう。研究授業の事後検討会でも、「この発問は効果的だったか」「どんな発問がよかったのか」という議論に終始している。しかし、その前提である道徳的諸価値そのものの理解についての議論はあまりなされていない現状がある。
例えば、「友情」という言葉も、人それぞれで捉え方は異なる。発達段階によっても捉え方は異なるし、場面や状況によっても異なるものである。道徳科の授業では、その理解の違いに気づかせ、対話を促すことが大事とされる。そして、その違いを引き出すためには、教師自身が授業前に多面的・多角的に「友情」について考えてみようとすることが大事である。そのうえで、その学年の、その教材で、どのような「友情」について考えさせたいのかを明確にすることが求められる(「学習内容」の明確化)。その学習内容が明確になってこそ、その授業で有効な「発問」が生まれるのである。
《参考引用文献》
村上敏治「道徳授業技術双書4 小学校道徳 内容の研究と展開」(1983,明治図書出版)
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