内容項目C「公正、公平、社会正義」の小学校1年生教材、「かずやくんのなみだ」の「発問」について考える。解説には、低学年の特徴として、「多数ではない立場や意見に対し偏った見方をする」「人も自分も同じ感じ方や考え方であると考える」ということが書かれている。
本教材は、「ぼく」や「さとし」を含む学級のみんなが、「かずや」を鬼ごっこに誘っていない。走るのが遅いという偏った見方が原因で「かずや」は仲間はずれにされている。
内容項目Cは、集団や社会との関わりについて考えることが求められる。そこで、本教材でも、「ぼく」と「さとし」以外の「みんな」を登場させる。例えば、ぼくが気づかないふりをしている場面で、「みんなも同じようにしているのだから、正しいことだよね?」と尋ねるだけで、「おかしい」という意見が引き出せる。「みんなが言っていても、間違えていることがあるの?」と、さらに問い返すことで、多数がいつも正しい訳ではないことに気づかせることができる。
また、解説の中には、「偏見や差別が背景にある言動については、毅然として是正することが必要である。」「公正、公平な態度に根ざした具体的な言動を取り上げて、そのよさを考えさせるようにすることが大切である。」という記述もある。
本教材は、中心人物であるぼくの心情を考える授業が多く見られる。しかし、集団との関わり方を考えさせることが求めらる本内容項目では、それに加えてさとしの言動についても取り上げることで、日々の生活の中での不合理について考えさせることができる。
例えば、さとしは、すぐに笑顔でかずやを受け入れたのである。「どのような、どれくらいの笑顔だったのだろうか」「その笑顔に、ぼくやかずやは何を感じたのだろうか」と、さとしの公正、公平な態度に根ざした具体的な言動のよさを問うことで、道徳的諸価値のよさを実感することにつなげられる。
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