前日に続き、2年生の教材「本がかりさん がんばっているね」(日本文教出版)の授業づくりについて考えます。
教材中盤で、本係の二人の葛藤が描かれています。「面倒になってきた」「損だ」というマイナスの表現が複数出てくるので、思わずその気持ちに共感させたいと思うところですが、低学年では、「働くことへの意欲や喜び、充実感」に焦点を当てた方がよいということを前日に述べたところです。
この場面でも、二人は葛藤したけれど、その後もみんなのために本棚の整理をがんばっています。葛藤をしながらも、二人はその後にどのような会話をしたのでしょうか。その会話を想像させることで、「面倒」という思いではなく、「でも、がんばろうね」「みんながきっと気づいてくれるよ」など、働くことの意欲や喜びにつながる思い(より高い価値)を引き出すことができるのではないでしょうか。
村田昇も、道徳と葛藤の関係について、以下のように述べています。
(以下、参考文献より一部抜粋)
葛藤のなかでいかなる道を選ぶか。その選択のしかたは無数にあり、けっして一つではない。しかも、そのいずれかが正しくていずれかが正しくないというのではなくて、そのいずれもある程度正しいし、また、そのいずれもことごとく正しくない。この葛藤の場において、少しでもより高い価値を選択しようと努力するところに、道徳は成立するのである。
(以上)
本係の二人も、この葛藤の中で、少しでもより高い価値を選択しようとしたのではないでしょうか。
《参考引用文献》
上田薫・平野智美『教育学講座16 新しい道徳教育の探求』(1979,学習研究社)
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