2022/12/22

道徳科授業と自尊感情(4)


 心理学者の近藤卓は、基本的自尊感情を高めるためには「共有体験」が大事になると述べています。「共有体験」とは「感情と体験の共有」を指し、4つの構成因子からなるとしています。


友人因子

友人たちとの意見の一致や、目が合うといった体験

交流深化因子

友人たちと同じであるだけでなく、一緒につらいことを悲しんだり乗り越えたりと、ネガティブ感情についても共有できたと感じる体験

家族生活因子

家族と一緒に過ごす時間

日常生活因子

日常で関わる人たちと交流する体験


 基本的自尊感情は、上記の因子からなる「共有体験」の繰り返しによって、和紙を重ねていくように少しずつ育まれていくものだと近藤は述べています。道徳科授業においても、対話を通して意見が一致(不一致)する体験や、友だちとの交流で目が合うといった体験を重ねることで、子ども達の基本的自尊感情を高めることができるのではないでしょうか。

《参考引用文献》

近藤卓『基本的自尊感情を育てるいのちの教育』(2014,金子書房)


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