2022/12/03

真理の探求、創造


 内容項目A「真理の探求、創造」の授業づくりについて、中学校学習指導要領解説をもとに考えます。まず、解説(中学校)で気になる記述は以下になります。

小学校の段階では、高学年で、真理を求める態度を大切にし、物事の本質を見極めようとする知的な活動を通して興味や関心を刺激し、探求する意欲を喚起させる指導を行っている。  中学校学習指導要領解説P35

 この記述を読むと、身が引き締まる思いがします。小学校の道徳科の授業で、私たちは子供たちの「真理を求める態度」を大切にできているのでしょうか。教師のもっている「答え」を子供たちに与えようとしていないでしょうか。

 また、「物事の本質を見極めようとする知的な活動」という言葉も心に刺さります。人物の心情を順に想像するだけの学習活動は、はたして「知的な活動」と言えるでしょうか。

 では、「知的な活動」とはどのようなものなのでしょう。それに関する具体的な紹介は記載されていませんが、小学校の解説を読むと以下のようなことが書かれています。

一般に、科学的な真理や構造は、個々の具体的な自然現象や社会現象の背景にあるものであり、物事を探求しようとする心は、何もないところから突然生まれるものではなく、児童の日常生活の中で生じる小さな好奇心、疑問や分からないことへの興味、関心から徐々に育まれるものである。また、その探究心は、疑問に思ったことや分からないことをそのままにしておくことではなく、真理を大切にし、真理を追い求めることによって確かなものとなる。

 「真理の探求」の教材の多くは、社会で活躍をした人の姿が描かれています。その人たちは「日常の中で生じる小さな好奇心」を大切に、そこから探究心を育み、真理を追い求めようとした人たちです。授業では、その「小さな好奇心」や、「探究心が育まれていく過程」を子供たちにしっかりと考えさせたいものです。

 ただ、上述したように、教科書の流れに沿って順に考えさせたところで、それは「知的な活動」にはなりません。ここで大切にしたいことは、目の前の子供たちの「小さな好奇心」を大事にすることではないでしょうか。教材を読み、自らの心の中に芽生えた違和感や尊敬の念を自覚させる。そして、「なぜ違和感をもったのか」「その人物のどこを、なぜ尊敬するのか」という自らの問いを解決させる授業とする。このような授業(活動)こそ「知的な活動」であり、「真理の探求」の授業では特に大事になるのではないかと考えます。

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