2023/09/23

『親切』について考える


 大阪体育大学の髙宮正貴は、内容項目「親切、思いやり」の押さえどころとして、親切の本質を以下のように述べています。

(以下、抜粋)

 低学年では「おせっかい」であったとしても親切にすることが推奨されますが、高学年では「相手の立場に立つ」ことが望まれています。これは発達段階の問題でもありますが、「相手の立場に立つ」ことは、親切や思いやりの成立条件です。

 「相手の立場に立つ」ことが大切なのは、相手には「自由」があるからです。カントによれば、個々人が何に喜びを感じるか、どこに喜びを置くのかはその人の自由に基づいており、その人が決めることです。つまり、相手には自分にとって何が幸福であるかを選択する自由があります。それゆえ、私の幸福感に基づいて相手に親切にするのではなく、相手の幸福感に基づいて親切にしなければなりません。相手の幸福感ではなく私の幸福感に基づいて親切を行うと「おせっかい」になります。それゆえ、本当の親切とは、相手の自由を尊重しながら、相手が望んでいることを行うことです。

(以上)

 「相手の自由を尊重する」という視点を、「親切、おもいやり」の授業づくりでは大事にする必要があるということです。


《引用参考文献》『道徳教育 2023年8月号』(明治図書,2023)

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