2023/07/04

裏庭でのできごと(5)


 中学校1年生教材「裏庭でのできごと」について考えていきます。

 本教材は、内容項目「A 自主、自律、自由と責任」ですが、子供たちからの意見は「正直に謝ったらすっきりする」というようなものが多数を占めることになりがちです。

 さて、宮地忠雄は、書籍の中で以下のように述べています。

(以下、抜粋)

(「叱られても、黙っているより、早くあやまると、あとはすっきりする。だから、早くあやまるといい」という小学校3年生の話合いの結論に対して)最も注意すべきは、30分あまりも費やして、三年生なりにたどりついた結論に対して、「それでいいだろうか」と、真っ向から、それをくだいていく発想をとっている授業だということである。心理アプローチを倫理的アプローチに転回させるステップ、あるいは問いかけ。これが最も注意されるべきである。

(以上)

 上記の中で、宮地は「心理アプローチを論理的アプローチに転回させる問いかけ」と表現をしていますが、これこそ「補助発問」や「問い返し」と呼ばれる類の発問になるのではないかと考えます。本教材を扱った授業でも、「謝りにいった方がいい。モヤモヤがなくなる」という生徒の発言に対して、「本当にそうなのか」と真っ向から問い返してみる(論理的アプローチに転回させる)と、子供たちはさらに深く考えられるのではないでしょうか。


《参考引用文献》

宮地忠雄『道徳指導シリーズ8 道徳授業と発問』(1973,明治図書出版)

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