2023/07/01

裏庭でのできごと(2)


 中学校1年生教材「裏庭でのできごと」(日文)について考えていきます。

 昨日の記事で「3人が肩を組んでいる写真」と「鏡に写っている自分」という違いについてお伝えしました。本日は、違いをもう1点紹介します。

 教材後半、中心人物(健二)は鏡を見ながら「僕は、僕自身はどうしたいんだろう・・・」という心の中の言葉が描かれています。その言葉も、以前は(他社は)「僕は大輔にどう思われているかなんてわからない」という言葉だったようです。

 後者の言葉だと、どうしても「大輔との友情」という思考に生徒はとらわれてしまう傾向があると推測できます。

 この2点から、内容項目「A 自主、自律、自由と責任」をきちんと意識させてほしいという教材編集の意図が伝わってきます。子供たちはどうしても人間関係に目が行きがちですが、本教材では中心人物(健二)の心に焦点を当てることが大事になるのではないでしょうか。

 なお、この2点の違いについて、平成3年に文部省が発行した読み物資料には、その箇所の記述はありません。「練習が終わっても、気が重かった。次の日、健二は昨日のことが気になって、足取りの思いまま、学校へ向かった」と記載されています。子供たちに深く考えさせるために、後日追記された箇所だということになります。


《参考引用文献》

文部省『道徳教育推進指導資料(指導の手引)1 中学校 読み物資料とその利用 ー「主として自分自身に関すること」ー』(平成3年)

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