上越教育大学大学院の早川裕隆は、道徳科授業における「役割演技」について以下のように解説しています。
(以下、一部抜粋)
役割演技については、昭和33年改定の学習指導要領において、「劇化」として登場します。「劇化」について、翌年出された小学校道徳指導書(文部省)では、その形式として「脚本に従って演技するものと、脚本を用いない即興的な役割演技などがある」とし、役割演技は「およその題目と役割と場面を決めておくだけで、児童に自由に演劇させるもの」と紹介されています。その後の改定から「劇化」は「役割演技」に代わっていることから、役割演技は、「脚本に従って演技するもの」とは違うと考えられます。
(以上)
過去の学習指導要領からも、役割演技には「即興性」が求められていることがわかります。しかし、指導案に「役割演技」と記載されていても、実際に授業を参観すると教科書に記載されている発言を追っていたりワークシートに書いたものを読ませたりしている姿をよく見かけます。そのような活動は役割演技としては不十分であるという自覚のもと、授業者は子供たちの「即興性」を引き出すために、発問や授業展開を工夫したり、学級の雰囲気作りに取り組んだりしていくことが必要だと考えます。
《引用参考文献》
『道徳教育 2022年12月号』(明治図書,2022)