2026/08/10

道徳科の授業づくりワークショップ② 考えさせたい内容について


 道徳科の授業づくりについて、ワークショップ形式で考えるシリーズです。

  

最初に私達が行うべきは、道徳教育で扱う内容ごとの課題の検討である。考えたり議論させたりする「方法」に意識が向きがちである。だが、「内容」と無関係に「方法」だけを考えることは非生産的だ。授業で扱うべき「内容」ごとに課題を整理し、課題を踏まえた上で「方法」を検討する必要がある。

藤川大祐 著「道徳授業の迷宮〜ゲーミフィケーションで脱出せよ〜」(2018、学事出版)

 

道徳科の授業において、授業の「ねらい」とは別に、それを叶えるための「学習内容」を設定することが不可欠です。この点が不十分だから、読み物資料の登場人物の心情理解のみの指導や意図などが不明確な単なる生活経験の話合いになったりしてきたのです。

        坂本哲彦 著「分けて比べる道徳科授業」(2018、東洋館出版社)

 

 このお二人の主張から、授業づくりの際に授業者が初めにすべきことは、その教材での学習内容を明確にすることだといえます。まず、学習内容を明確にする。その次に、発問や展開を考える。そうすることで、授業に一本の軸が生まれるのです。

ただし、ここで大切にしたいことは、「何を教えるか」ではなく、「何について考え議論させるか」という学び手の視点で授業者が考えることです。なぜなら、授業の主体は子供たちだからです。


≪ワーク②≫

本教材で、子供たちに考えさせたいことは、どのようなことでしょうか。教材の記述と内容項目をもとに考えてみましょう。

 

 

 

 


2026/08/08

道徳科の授業づくりワークショップ①


 道徳科の授業づくりについて、ワークショップ形式で考えてみましょう。

 教科書教材や文科省資料など、先生方の手元に届く教材には内容項目が定められています。一つの教材に一つの内容項目が定められていますが、なぜ、その内容項目になっているのかを考えたことはあるでしょうか。

 教材ごとに定められている内容項目は、それが正解というわけではありません。例えば、「友達と仲良くしたい」という内容の教材があったとします。「友達と仲良く」というキーワードからは、内容項目「友情、信頼」を想像できますが、もしかすると「公正、公平、社会正義」の方が相応しいかもしれません。ここで、「友情、信頼」と「公正、公平、社会正義」の低学年の記述を見てみましょう。


【第1学年及び第2学年の「友情、信頼」の内容】

この段階においては、幼児期の自己中心性から十分に脱しておらず、友達の立場を理解したり自分と異なる考えを受け入れたりすることが難しいことも少なくない。しかし、学級での生活を共にしながら一緒に勉強したり、仲よく遊んだり、困っている友達のことを心配し助け合ったりする経験を積み重ねることで、友達のよさをより強く感じるようになる。

指導に当たっては、特に身近にいる友達と一緒に、仲よく活動することのよさや楽しさ、助け合うことの大切さを実感できるようにすることが重要である。また、友達とけんかをしても、友達の気持ちを考え、仲直りできるようにする。そのためには、友達と一緒に活動して楽しかったことや友達と助け合ってよかったことを考えさせながら、友達と仲よくする大切さを育んでいくようにする必要がある

 

【第1学年及び第2学年の「公正、公平、社会正義」の内容】

この段階においては、発達的な特質から自己中心的な考え方をしがちである。そのため、人も自分と同じ考え方や感じ方であると考え、異なる考え方や感じ方を否定する傾向がある。こうした自分の好みや利害によって、ともすると公平さを欠く言動をとる姿も見受けられる

指導に当たっては、日常の指導において、公正、公平な態度に根差した具体的な言動を取り上げて、そのよさを考えさせるようにすることが大切である。また、偏見や差別が背景にある言動については、毅然として是正することが必要である。これらの指導を通して、児童が誰に対しても公正、公平に接することのよさを実感できるようにすることが大切である

 いかがでしょうか。友達と仲良くできない要因が、仲良く活動するよさを実感できていないからなのか、いじめや決めつけが要因となっているかで、内容項目が異なってきます。「友達と仲良く」というキーワードはよく似ているかもしれませんが、扱うべき内容項目によって指導内容や留意点は大きく異なっていることに気づくことができます。


≪ワーク①》

今回扱う教材をどの内容項目で授業するか考えましょう。なぜ、そう考えたかも話合いましょう。