小学校3年生教材「ぼくのボールだ」(日本文教出版)の授業づくりについて考えます。内容項目は「公正、公平、社会正義」です。
本教材はドッジボールの一場面を扱っています。運動が苦手な(強いボールを投げられない)たかしくんががんばって拾ったボールを、ぼくに横取りされてしまい、チームが勝つために強いボールを投げられるまさとくんにボールを渡されるという内容です。
ボールを横取りされたたかしくんは「やめてよ。それは、ぼくのボールだ」「ボールは取った人のものだよ」と大声で訴えます。この発言を、学級の子供たちはどのように受け止めるでしょうか。
実際の授業で範読後に「お話を聞いて、おかしいと思ったところはありますか」と尋ねたところ、「たかしくんはわがままだ」という意見がありました。もしかすると、日頃から「わがままを言ってはいけません」「自分勝手をしてはいけません」と学校や家庭でよく言われている子ほど、このような捉え方をしやすいのかもしれません(推測ですが)。
さて、この「わがままだ」という意見をどのように扱うのか、道徳科授業のおもしろさであり、難しさでもあります。このような意見を出させないように教師主導で授業を進めていくこともできるでしょう。ただ、これから求められていく道徳科授業は、このような意見を大事にして、考えを深めさせる授業なのではないでしょうか。
今回のように、模読後にこのような意見が出てきたのならば、「では、たかしくんがわがままなのかどうか、みんなで考えていこうね」と、子供の発言から授業のめあてを作ることができそうです。学習指導要領解説にも「日常の指導において、公正、公平な態度に根差した具体的な言動を取り上げて、そのよさを考えさせるようにすることが大切である」とあります。授業を通してぼくの言動やたかしくんの発言について考えさせることで、「たかしくんの発言はわがままではなく、とても大事な発言なのだな」と子供たちが理解できたなら、その授業は大きな学びにつながるのではないでしょうか。