宮地忠雄は、道徳科授業での発問を6つに分類しています。そのうちの「価値の実践化(実践への意欲化)をはかる発問」について、宮地は以下のとおり説明をしています。
(以下、引用参考文献から一部抜粋)
この累計にまとめられる発問も、この授業では、直接とらえることができないようである。しかし、考えようによれば、道徳問題をにつめ、価値へ志向する心理的な葛藤をより深めることを意図して発せられた発問は、次の段階の価値の発見や把握をはかる発問とあいまって、価値の実践化をはかる発問となっているといえないことはない。
なんとなれば、児童が、心から「できればこうすることがよいことだ」とか「望ましい行為のしかたはこれだ」などと納得すれば、当然それへの実践化が期待できるからである。
けれども、ここで取り上げようとしていることは、もっと直接的に実践化あるいは行為化を意図して発せられる発問の類型である。
たとえば、
「どういうようにすれば、それができるででしょう」
「できれば、そうすることが一番よいことだとわかっているけれど、実際はなかなかできないよね。それで、そこまでできなくても、自分ではどの程度のことまでできるかな。自分では、これくらいのことはできる、(こういうふうにするんだったら、自分でもできる)そういったことを考えてみよう」
(以上)
(引用参考文献)
宮地忠雄『道徳指導シリーズ8 道徳授業と発問』(1973,明治図書出版)