日本文教出版社3年生「同じなかまだから」(内容項目:公正、公平、社会正義)の導入について考えます。
本教材のポイントの一つは、とも子やひろしの「勝ちたい」という気持ちの扱い方です。「勝ちたい」という気持ちは決しておかしなものではありません。しかし、誰かを無理やり仲間から外して勝とうという気持ちは、決して公正なものではないでしょう。
そこで、例えば導入で「運動会やスポーツ大会で、『勝ちたい』と思うことはいいことかな?」と尋ねます。多くの子が「いいこと」と答えるでしょう(実際に授業をした際には、「時と場合による」という発言もありました)。
そして、授業中盤のとも子やひろしの「勝ちたい」という気持ちを想像させた時に、「この『勝ちたい』は、みんながいいと言っていた『勝ちたい』という気持ちと同じだね」と尋ねます。すると、「え!違うよ!」「ちょっと待って」というつぶやきが生まれます。そこで何が違うのかを話し合わせるのです。
また、補助発問として、「もし、学級の運動が得意な子が指にけがをしていたら、同じように見学をすすめるのかな」と尋ねてはどうでしょうか。そうすると、おそらく「見学をすすめない」という反応が出てきます。「でも、それっておかしいよね。何がおかしいのかな?」と問い返すことで、「人によって接し方を変えてはいけない」などの公正、公平の価値観に気づくのではないかと考えます。
教師が意識しておくべきことは、本教材での学びが、「運動が苦手な子も仲間に入れてあげる」などの「立場の弱い子を仲間に入れる」というものではなく、「人によって接し方を変えてはいけない」というような「公正、公平、社会正義」の価値理解に迫ろうとする意識ではないでしょうか。
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