2025/10/31

6年生「わたしのせいじゃない」~構成的グループエンカウンター~


 日本文教出版社6年生の教材「わたしのせいじゃない」を、構成的グループエンカウンターの観点で授業を考えます(構成的とは「枠を与える」、グループは「小集団」、エンカウンターは「出会い」という意味になります)。

(1)本教材で描かれている14名の子の発言をカードにして小グループ(3~4名)に配ります。

(2)そのカードをグループごとに「許せない順」に並び替えさせることで、それぞれの価値観を交流させます。

(3)並び替えたカードの、どこまでを許せるのかグループで判断させます(定規などで区切らせます)。ここでは、おそらく一般的な視点(自分事ではない)で子供たちは判断するでしょう。

(4)最後に、その区切ったところまでを、あなた自身が被害者の場合許せるのかを尋ねます。この時、子供たちは初めて自分事として考え、一般的な視点とのずれに気づきます。なぜ、そのようなずれが生じるのかを考えさせてもよいでしょう。

 普段の道徳科授業と異なり、常に教師の顔を見て考えるのではなく、友達の顔を見て考えられることがこの授業形態の特徴です。また、「並び替える」「区切る(判断する)」などの活動の中でグループでの対話がたくさん生まれる授業にもなります。時に、このような授業もよいのではないでしょうか。

2025/10/29

内容項目の四つの視点


 道徳科の内容構成は、4つの項目(内容項目)が示されています。そして、それら4つの項目は、それぞれが独立したものではなく、相互に深い関連をもっています。

(以下、学習指導要領解説第3章第1節(2)四つの視点から一抜粋)

 この四つの視点は、相互に深い関連をもっている。例えば、自律的な人間であるためには、Aの視点の内容が基盤となって、他の三つの視点の内容に関わり、再びAの視点に戻ることが必要になる。また、Bの視点の内容が基盤となってCの視点の内容に発展する。さらに、A及びBの視点から自己の在り方を深く自覚すると、Dの視点がより重要になる。そして、Dの視点からCの視点の内容を捉えることにより、その理解は一層深められる

(以上)

 このことを分かりやすくすると、次の表のような記述になるでしょうか。


自己(A)を基盤に、他者(B)、社会(C)、生命・自然(D)と関わり、自己の生き方(A)を確立する。

人との関わり(B)の経験が、集団や社会(C)への参画意識に発展する。

自己(A)と人との関わり(B)を踏まえて、生命や崇高なもの(D)への認識を深める。

生命の尊さ(D)といった根源的な価値から、社会のルールや正義(C)の意味を深く理解する。

 

 多くの道徳科授業では、一つの教材に一つの内容項目で授業を構成しています。しかし、内容項目が相互に関連をもっている以上、様々な視点から授業を構成する必要があると考えることもできるでしょう。